2011年6月21日火曜日

緊急支援での適切な調整とは? その2

前回のブログからはや、ひと月半、経ってしまった。にもかかわらず、「調整」の状況は変わっていない。

今回の東日本大震災の支援状況に関して、ずっと考えていたこと、それは、このフィールド(活動地)での支援活動が、どうしてこんなに時間がかかるのか、復旧復興の進み方が遅いのか、ということだ。

JENは、1994年以来、海外各国で紛争・災害の緊急支援に出動してきた。世界で緊急事態が起こると、(緊急)支援は、こんな風に進められている。

1.





被災地での調整は、分野別に行われる。

被災国全体では、必ず分野別にとらえるし、被災した地域でも同様に分野別に捉える。逆にそうしないと、漏れやダブりが出てしまう。


2.






支援に携わる“関係者全員”が一堂に会して漏れやダブりをならしていく作業をするのが、現地での『調整会議』だ。

関係者全員とは、現地政府、国連機関、NGO、各国政府などだ。様々な関係者が提供できる物やサービスを調整会議で伝え、足りない部分を埋めてゆく。

日本で『調整』というと、“根回し”みたいに受け止める方がいるようだが、緊急支援の調整は、決して根回しではない。プロ同士の連携であり、緊急時に効果を発揮する。携わる誰もが最重要とみなす必要不可欠な業務だ。こうして、貴重な物資やサービスを提供できる組織が、全体像を見渡して互いにサポートしあいながら、効果的に支援を提供する。これが緊急時に求められるプロの存在と、それがもたらすスピードだ。




3.




東日本大震災の場合は、更にすごい。通常、支援に加わっていない民間の企業も主体的に参加し、支援をしているのだから、こんな強みを活かない方がおかしい。だから、これを有効活用するために、この図の右側のような全体での調整をすることが望ましい。



4.






今回の東日本大震災の現状はこうだ。「公」と分類される国、県、市町など行政のそれぞれのレベルに災害対策本部が設置されている。おそらく、それぞれの災害対策本部が、分野別の目配りや資源の配分をやっているのだろう。

一方、これとは別のとりくみとして、社会福祉協議会が『監督』している「民」の活動、ボランティア活動がある。

驚くべき現実はというと、世界中の様々な巨大災害で緊急支援に携わってきた経験を持つNGOたちは、「民間」だから、という理由で、この『ボランティア』と位置づけられていることだ。

刻一刻と状況が変わる緊急時に、みなされ方などはどうでも構わない。ここで問題なのは、それぞれの場所で行われている『調整』が、互いに分野別に別々に行われているために、支援の全体像が見えにくくなっていることだ。




5.



結果的に全体の支援が遅くなっている。

これをどうやって解決していったらよいのか、次回考えてゆく。

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