2011年3月21日月曜日
2011年2月7日月曜日
ヒーローはどこにいる?
先週、FさんがJENを卒業していった。
2年と8カ月、本部とスーダンで職員として活躍してくれた。以前は、JENのサポーターとして前の事務所で手伝ってくれたり、彼の留学前にはインターンとして働いてくれた。
一番苦しかったのは、絶対的に人手不足だった時だと、勤務終了間際の面談で彼は言った。もう、これ以上できない、次の事業は申請しないで、規模を縮小した方がいいと思ったそうだ。どうしてそうしなかったかを聞くと、帰還してきた難民の方々にとっても、JENにとっても、規模を縮小しない方がいいと思ったから、との答え。つまり彼は、その身を削って帰還民のために働いたとも言える。
補充要員の採用通知を出しても辞退者が続出して補充できなかったのは、まったくもって採用を担当する私たちの不徳の致すところだ。Fさんのような自己犠牲は、もちろん全く奨励しないし、これを本部の私たちが『美徳』と言ってしまったら、とんでもないことになる。むしろ彼が要望しなくても、規模縮小を含む、様々な取り組みができたはずだ。
ただ、私の不徳は一旦わきに置いて、その時点での彼の選択は、ヒーロー的だと言いたい。厳しい状況の中で、自分が大変になることを判っていて、敢えて彼が最優先したのは、帰還民の利益だった。これがヒーロー的でなくて何なのか。
そうか、ヒーロー(ヒロイン)とは自分よりも他者の利益を優先する人のことか。それなら、同僚たちは全員ヒーロー(ヒロイン)だ。僻地に住む被災者のためにひと足もふた足も延ばして、急峻な山肌を歩いて調整に赴いたり、高額な物資をつかまされそうになっても走り回ってこれを防ぎ少しでも多くの人をサポートする。事務仕事でも、急ぎでない自分の仕事を後回しにして、忙しい同僚に手を貸したりと、身の回りのヒーロー的な行為をあげれば本当にキリがない。
2011年1月17日月曜日
No.26国際協力の現場から:マヨネーズのように支援する

2010年12月24日金曜日
2010年12月20日月曜日
本を書きました。『誰かのためなら人はがんばれる -国際自立支援の現場でみつけた生き方-』
(以下、JENの公式HPより) 特定非営利活動法人ジェン理事・事務局長、木山啓子による初の著書。旧ユーゴスラビア、イラクやアフガニスタン、スリランカで、厳しい状況に置かれた現地の人びとが、少しずつ力を取り戻していく様子を、何度も目の当たりにしてきました。そして、いったい何が人を支えているのか、教わりました。
「自立こそ、幸せの鍵である!」
JENの16年間の活動の中で、紛争・災害で厳しい状況にある人びとから教わった「幸せの鍵」を、皆さまにご紹介します。
木山啓子著 かんき出版発行
定価(本体1400円+税、送料別)
2010年11月28日日曜日
2010年11月20日土曜日
No.25 国際協力の現場から : 人財が支える自立支援
パキスタンでのJENの事業は過去9年間で5件に上る。『自立支援』なのになぜ、終わった後に始まるのか。持続可能な自立支援であれば、一たび終了すれば次の支援は不要となるはずではないのか。
理由は単純だ。効果の広がる速度が極端に遅いからだ。適切な自立支援の後には、自立への道を再び歩み始めた人々とコミュニティがある。だが、周囲の状況が悪ければ、その遅々とした自立への歩みも後戻りすることさえある。周辺地域に効果が広がってゆくと楽観的に考えたとしても、気の遠くなるほど長い時間がかかる。
元々、自立支援というもの自体が促進剤ではある。人が生まれながらにして持つ自立する力は、本来であれば、極端な貧困の中にあっても発揮される。支援の手など差し伸べられなくても人々は暮らしを向上させてゆくが、現状では、世界の仕組みがそれを難しくしている。厳しい暮らしに追い打ちをかける紛争や災害は、その歩みを更に鈍化させる。そんな状況でも自立する力が速やかに発揮されるように、サポートするのが自立支援だ。
自立支援の効果の伝播の速度が遅ければ、様々な地域で支援のニーズがあることになる。例えばJENの支援地であったカシミール州(A.J.K)のバーグから今回の洪水支援の事業地であるハイバル・パフトゥン・ハー州(K.P.K)のチャルサダまでは約200km。日本でいえば、直線距離で東京から長野にあたる。バーグからバロチスタン州のジアラットに至っては約3,000km、北海道と沖縄ほど離れた場所にある。広いパキスタンのあちこちで大きな災害があれば、各地での支援がそれぞれ必要であるのは自明と言えるだろう。悲観論でも何でもなく、一つの地域で実施した自立支援の効果が他の地域に与える影響は、残念ながら現状ではあまり大きくない。
だが、重要な影響を与えるものがある。地域を越えて移動できる人財だ。今回の洪水での緊急出動にも、カシミール地震支援で活躍してくれた現地職員が、現在就いている別の職を休んで駆けつけてくれた。既にJENの目指すものや仕事のやり方を判ってくれている職員は、到着したその日から活躍できる。緊急事態に遭って支援を待つ被災者の強い味方だ。文字通り叱咤激励しながら、被災の悲しみから立ち上がる人々を支えることができる。重要なのは、その職員が更に周りの職員や被災者を勇気づけ、次の『強い味方』を育成してゆくことだ。今回の洪水被災者緊急支援も、一定の期間を経て終了する。その後に残る人々が地域や国の財産となるような支援を続けたい。
(写真:がれきを取り除く工具を受け取る、洪水被災者。パキスタン・チャルサダ県にて)
(ニュースレターNo43より転載)
